「げほっ、げぇっ、うえ…っ!」

激しく咳き込んで、桂はもう何度も口に含まされた精液を床に吐き出した。
かなりの回数をこなした所為で流石に薄くなってきてはいるものの、想像以上の苦さと粘度は何度口にしても慣れることはなく、
飲み下せずに反射的に吐いてしまう。
床にぶち撒けたその白濁が目に入ると、胃液がこみ上げてきたが無理に押さえ込んだ。

「なぁ、桂くん」

ため息混じりに銀八が桂の斜め上から声をかける。教員椅子にどっかと座ったその男は、心底残念そうな面持ちで
ぱらぱらと書類を気休めに捲りながら、こちらを見下げていた。
「いい加減ちょっとぐらい飲めるようにならないと。先生出るモンなくなっちゃうよ」
言い終えたと同時に、桂の体内で更に激しい振動が起きた。眠っていた獅子が覚醒したかのように、
暴れ狂うその小さな機械が桂の肉壁を抉り取ろうとする。
「っぅあアあああぁあぁ!!」
バイブ音が工事現場の作業音ほどに大きく鳴り響き、同時に桂のきつく縛り上げられたペニスが更に限界へと近づく。
悪夢のような圧迫感と後孔を揺さぶる刺激に桂は前のめりに頽れ、泣きじゃくりながら懇願した。

「っぅ、ひっ、く、ぅう、せんせ、もう、ゆるして・・・」
「だーから許すってば。心配しなくてもちゃあんと全部飲めたら、小太郎のこともすぐイかしてあげるって」
「ふ、っく、も、できない…飲めないぃっ…」
「大丈夫、できるよ。小太郎は誰よりもできる子なんだから」

ぷちん、とバイブの振動が止んだ。それを合図に、はぁはぁと荒く呼吸を繰り返しながら桂はゆっくりと顔を上げ、再び銀八の
萎えた雄に舌を這わせる。慣れとは怖い。ほんの小一時間前に口淫を言いつけられたときは、口を近づけることすらままならなかった。
やっと口内に生臭いソレを導いたときには銀八の我慢は限界だったようで、舌打ちと共に首ごと固定されて、前後に腰を動かされた。
声にならない悲鳴を上げ後ずさろうとする桂をその頭がもげそうなほどに押さえつけ、銀八はそのまま心ゆくまで射精したのだった。

「ん、…ふ…っ…ん…」

もう恐らく十回以上は再生してきたおかげで、銀八の性感帯がどこなのか桂は大体把握し始めていた。そこを丹念に舐め、時に吸う。
何事も呑み込みがいい性分が災いしているのか、幸いしているのかはよく分からなかった。
しかし桂の技術が向上する反面、銀八の射精の間隔はどんどん広くなっていく。
そしてその分、桂自身の限界も近づく。自身の男根は紐帯である教師のエンジ色のネクタイを食いちぎらんばかりに肥大しており、
ひどい色をしている。勿論じんじんととても痛い。跪く体勢もそろそろ辛い。
もう手が届きそうな場所にある限界を感じながら、桂は急かされるように必死に銀八を慰めた。
口をすぼめ、わざと音を立てる。浅ましい音がする。だがその方が銀八のくたびれた官能を刺激できる。
その証拠に、ほんの少しだが質量が小さな口内で増し始めた。
 裏筋を舐めようと一旦口を離した、その時だった。

「!!ぁああああアぁっ!!」

あろうことか、再びバイブの電源が入れられる。しかも、今までにないほどの激しい振動だった。
びくんっと細い身体が跳ね、零した白濁の海へ桂は飛びこみ、腰だけを高く掲げて今度こそ悲鳴を上げた。

「んぅあぁっ、ひ、ひやあああっ!!やめ、とめ、とめてせんせぇ・・・っせんせぇえっ!!」

「小太郎、お願いの仕方、わかってるよね?」

銀八の顔を見る余裕は桂にはないが、きっと非道く愉しげに笑っているだろう。
肉体を嬲って苦しめ抜いて、限界を感じさせたところで今度は自尊心をどぶの中へ放り込んでぐちゃぐちゃに足蹴にする。
それがやりたかったのだ、この男は。死んでしまえ。桂は強くそう思ったが、それでも肉体の破壊を止めるため屈するしかなかった。
先ほどはっきりと拒否した其れを、桂は操り人形のようにがちがち鳴る歯の隙間から零した。

「…せんせぇ、…こんな、の、おしりに、くわえるより…せんせぇのが、ほし、い」
「へぇ?なんで?バイブも気持ちンだろ?」
意外に高いんだぜこれー、と言いながら銀八は桂の白い尻をぺちぺちと叩く。その刺激にすら桂は大袈裟に揺れる。

「だ…ってお、れは、…せンせぇが、すき、だから…」

言い切ると堰を切ったようにまた涙が溢れて流れた。生理的な其れではない、哀しみだとか憎悪だとか悔しさだとかが籠もった涙は、
今まで流したどんな涙よりも熱を帯びていた。

「そ、じゃあ。小太郎のお望み通りにしてあげる」

銀八はバイブのスイッチを消し、桂の後孔にほぼ1日中埋まっていたその小さな機械を掻き出した。赤く腫れた尻の穴がひくつく。
桂は啜り泣きながら、未だに続く性器の痛みの解放を待った。
しかし銀八は、それをせずに桂の後孔に自身の先端を宛がい、ずぶりと埋めた。

「!?や…せ、んせッ、まえ、まえ、はずして…っ!」

「だあって小太郎、俺のザーメン全部飲み込めなかったでしょ?だからだーめ」

「や、ゃだアっ、ごめんなさ、ゆるし…っンあああぁあぁああッ!!」

腰をぐいと掴まれ、銀八は小刻みに律動を開始した。
突き上げられるたび、赤黒く変色した桂のペニスが屍骸のようにぶらぶらと揺れる。

「あ、ふあぁっ、あンっ、ひゃめ、ア、あアぁっ!」
「あーすっげ…ナカどっろどろ。よーく解した甲斐があったねぇ、こたろ?」
「んあっ、ふっあっ、だめ、も、ホント、に、ほんとにぃっ…、っあアアあっ…!」

頭の中が真っ白になり、桂は絶頂を迎えたことを悟った。だが流れて然るべき白濁は堰き止められたまま居場所を失っていた。
内部のきつい収縮でどうやら銀八は射精したらしく、例によって体内に熱く粘度の高い液体が一滴残らず注ぎ込まれた。
ようやく満足した様子の銀八がネクタイを桂から外すと、情けなく精液がどろどろと垂れ流れた。
解放された桂は床にうずくまったままで、嗚咽を堪えきれずに肩を震わせた。

「っふ…、うっ、うぅっ、っく…、」
「お疲れ様」

別人のような手つきで銀八が桂の滑るような黒髪を撫ぜ、額に本当に愛おしげに唇を落とす。
よくがんばったね?もう許してあげるから。耳元で、父親のような声音で言う。
今日の地獄が無事に終わったことを、桂は心底喜び、そのまま意識をことりと手放した。














ただの即物的エロ話で終わってしまったYO

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